ECサイトにおける顧客体験(CX)は、企業がオンラインで提供する商品やサービスの魅力を引き立てる重要な要素です。CXを向上させることで顧客の満足度が高まり、リピート購入やブランドロイヤルティの強化など、多くのメリットが期待できます。
そこで本記事では、ECサイトにおけるCXの重要性をご紹介しつつ、具体的な改善ポイントやその流れについて解説します。
後半では「シミュレーターの導入」によるCX向上の成功事例もご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.ECサイトにおける顧客体験の重要性とは
2.ECサイトの顧客体験対策が必要なポイント
(1)TOPページ
(2)相談、問い合わせ
(3)入力フォーム
(4)個別のユーザーに対する最適な情報の提供
3.ECサイトの顧客体験向上の流れ
(1)顧客体験の現状把握
(2)課題整理
(3)施策の実行と改善
4.ECサイトの顧客体験向上の事例
● ニトリ|バーチャルショールーム
● サンゲツ|商品シミュレーション
5.ECサイトのシミュレーターなら「Corcas」
1.ECサイトにおける顧客体験の重要性とは
ECサイトにおける顧客体験(CX)は、企業がオンラインで提供する商品やサービスの魅力を引き立てる重要な要素です。顧客体験が向上することで満足度が高まり、リピート購入や口コミの増加、ブランドロイヤルティの強化など、多くのメリットが期待できます。特にECサイトでは物理的な接点がないため、デジタルに適したコミュニケーションや、デジタルならではコミュニケーションを工夫して提供する必要があります。
詳しくは後述しますが、具体的な対策例としては以下のような事柄が挙げられます。
○ 商品ページにおける検索性を高める
○ 購入までの流れがスムーズな導線を設計する
○ リピーター創出を目的に後追いメールを送る
○ シミュレーターを導入する
成熟した市場においては、商品やサービスの品質だけでは競争優位性を保つことが難しくなっています。そのため、顧客体験を高めることは他社と差別化を図るための重要ポイントの一つと言えるでしょう。顧客がECサイトで快適かつ満足のいくショッピング体験を得られることで、企業は顧客の長期的な支持を得ることができるのです。
2.ECサイトの顧客体験対策が必要なポイント
ECサイトにおいて顧客体験を向上させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。以下に、特に注力すべきポイントとその具体的な対策を示します。
(1)TOPページ
ECサイトのTOPページは顧客が最初に訪れるページです。第一印象を決定づける重要なポイントであるため、ユーザーを惹きつける魅力的なビジュアルが求められます。
もちろん視覚的な魅力づけだけでなく、ユーザーが求める情報に迅速にアクセスできるよう、所在が明確で、なおかつ使いやすいナビゲーションを搭載するなど、検索しやすい画面設計を行うことも重要です。
○ TOPページのビジュアルを工夫する
○ 商品を探しやすい設計にする
(2)相談、問い合わせ
顧客が疑問や問題を抱えたとき、迅速かつ的確に対応できるカスタマーサポート体制は顧客体験の向上に不可欠です。チャットボットやFAQといったECサイト上で使用できる機能の整備に加え、有人対応のチャネルも用意することで、顧客の安心感を高めることができます。
特に、リアルタイムでのサポートが提供できるチャット機能は、顧客満足度を大きく向上させる要素となります。
○ ECサイト上にチャットボットやFAQを設置する
○ 有人対応のチャネルも用意する(主に電話)
(3)入力フォーム
入力フォームの使いやすさは、購買プロセスのスムーズさに直結します。煩雑な入力作業やエラーメッセージが多発するフォームは顧客の離脱を招く原因となるため、自動補完機能やエラーチェック機能を搭載したEFO(入力フォーム最適化)ツールなどを活用し、入力ミスを防ぐ工夫が求められます。
また、入力項目を最小限に抑え、シンプルで分かりやすいデザインにすることで、顧客のストレスを軽減することができます。
○ 入力フォームの操作に関するユーザーの負担を減らす
○ 必要に応じてEFOなどのツールも活用する
(4)個別のユーザーに対する最適な情報の提供
パーソナライゼーション技術を活用し、個別のユーザーに最適な情報を提供することも、顧客体験を向上させる有効な手段です。
One to Oneの代表的な対策例としては、ユーザーの過去の行動データや購買履歴を分析し、それに基づいて関連性の高い商品を推薦することで、ユーザーが探している商品を見つけやすくする「レコメンド機能」の実装が挙げられます。
また、メールマガジンやプッシュ通知を活用し、個別にカスタマイズされたオファーや情報を提供することで、検討中商品の購入やリピート購入を促すこともできるでしょう。こうしたコミュニケーションは、CRM(顧客管理システム)とMA(マーケティングオートメーション)の連携によって自動化することができます。
○ ECサイト上にレコメンド機能を実装する
○ メルマガやプッシュ通知で個別のオファーや商品の情報提供を行う
○ 商品の使用感や完成形を疑似体験できる「シミュレーター」を導入する
【補足】高まる「シミュレーター」の重要性
ユーザー個人に寄り添った情報提供の手段として、ECサイトにおける「シミュレーター」の実装が重要性を高めています。
代表的な活用例としては、複数のパーツや色を組み合わせて完成するタイプの商品を扱うECサイトにシミュレーターを導入することで、完成品のリアルなイメージをユーザーに提供するというものです。
ほかにも、通常であれば実店舗でしか叶わない体験(例:衣料品の着用イメージ)を提供できるほか、店舗でも実現しづらいシミュレーション(例:仮想空間上で気になるアイテムを組み合わせて確認・配置する体験)も提供できることから、CX向上に大きく貢献する仕組みとして注目されています。
なお、そもそも「シミュレーターとは何か?」については「シミュレーターとは?活用方法やメリット・デメリット、事例を解説」で詳しく解説していますので、気になる方は、あわせてご覧ください。
3.ECサイトの顧客体験向上の流れ
ECサイトにおける顧客体験を向上させるためには、段階的なアプローチが必要です。以下に、CX向上のための具体的な流れを示します。
(1)顧客体験の現状把握
顧客体験を向上させるためには、まず現在の状況を定量・定性の両面で正確に把握することが必要です。
定量面を評価する場合はWeb解析ツールなどを活用し、ユーザーとの接点別に、ECサイトのページ滞在時間や離脱率などを可視化します。
また、定性的なデータについては、実際のユーザーにサイトの使いやすさに関するアンケート調査を実施するなどして収集します。より具体的な評価を把握するために、ユーザーに個別にインタビューを実施するのも一つの方法です。顧客満足度を11段階で測るNPS®のような指標を活用し、使いやすさに対する満足度を定量データ化するのも手でしょう。
このように「顧客がどのようにECサイトを利用しているか」という現状をデータとして収集・把握することで、ユーザー視点の「満足している点」「不満を感じている点」を明確にすることができます。
(2)課題整理
現状把握の結果をもとにECサイトの課題を整理し、顧客体験の改善が必要なポイントを特定します。
ここでピックアップすべきは、現状把握の結果で顧客満足度が低かった項目や、パフォーマンスが低かったページなど、ECサイトの目標を達成する上でのボトルネックとなっている要素です。これらを重点的に対策するポイントに据え、改善策を設定しましょう。
課題整理を行う際は、カスタマージャーニーマップを作成することも有効です。これを活用することで顧客の購買プロセス全体が可視化され、改善が必要なポイントを特定しやすくなります。
改善策としては、例えば「インターフェースの改善」や「カスタマーサポートの強化」といったものが考えられますが、アクションプランを策定する際は「一度購入した商品の関連商品をレコメンドする取り組みの実施」のように、より具体的な施策に落とし込むことが重要です。
(3)施策の実行と改善
課題を整理し、計画を立てたら、それに基づいて施策の実行と改善を繰り返します。
もちろん、計画段階では見えていなかった問題が実行段階で判明することもあります。代表的なのが「施策の粒度が荒かった」というものです。
例えば、当初施策として設定していた「一度購入した商品の関連商品をレコメンドする取り組みの実施」が、実行段階で「ECサイト上でのレコメンド機能の実装」や「メールによるレコメンド施策の実施」といった複数の施策に分けられることが判明したとします。
こうしたケースにおいて重要なのは、闇雲に実施するのではなく、効果が出やすく簡単に対処できるものから優先的に実行することです。仮に、自社が「CRMとMAを活用しており、簡単にレコメンドを配信できる」といった状況にあるとすれば、後者の優先度を高めるべきでしょう。
また、施策を実施した後は「やりっぱなし」にせず、データを定期的に集計することが重要です。日々の観察によって効果を検証し、必要に応じて施策そのものの改善を行うことで、継続的に顧客満足度を向上させることができます。
4.ECサイトの顧客体験向上の事例
実際の企業の成功事例を学ぶことで、顧客体験向上のための具体的な施策を把握しやすくなります。
ここでは、「シミュレーター」を導入することで顧客体験向上を実現した企業の事例をご紹介します。
ニトリ|バーチャルショールーム
家具・インテリア用品小売業の大手である株式会社ニトリは、ECサイト上にバーチャルショールームを構築することで、顧客体験を向上させました。
○ VR技術を活用し、Web上にバーチャルショールームを再現した。
○ ユーザーはバーチャルショールーム内を自由に移動し、商品を確認できるように。
○ 気になったアイテムをクリックすることで、商品の詳細情報も確認可能。
○ 気に入ったアイテムがあれば、そのままECサイト上で購入まで進められる。
▼ 顧客体験への影響
○ ユーザーは、まるで実店舗で買い物をしているような体験をECサイト上で味わえるようになった。
○ Webページを行ったり来たりする必要がなく、バーチャルショールーム上からシームレスに商品の詳細情報を確認できるため、商品を選ぶ際の情報収集もスムーズに行えるようになった。
ゼネラルグラフィクス|製品シミュレーター
自動車のカスタムパーツなどを販売している株式会社ゼネラルグラフィクス。ユーザー自身がWebサイト上で製品を自由にカスタムし、完成形をイメージできるシミュレーターを導入することで、顧客体験の向上を実現しました。
○ 自動車のフロントボードをカスタムできるサービスを提供しており、数万通りの組み合わせが考えられるため、ユーザーが自身の好みに合わせて組み替えられるシミュレーターを制作。
○ 製品ページはECサイト構築サービスで運用していたため、別ドメインでシミュレーターを制作し、URLを貼り付けるのみで簡単に連携できる仕組みとした。
○ カスタムサービスはデザインから販売まで同社が実施しているため、いつでもデザイン追加ができるよう、CMSもセットで構築した。
▼ 顧客体験への影響
○ 数万通りの組み合わせから、ユーザー一人ひとりの好みのデザインを見つけ出せるようになった。
5.ECサイトのシミュレーターなら「Corcas」
顧客体験の向上を図るうえで、今やシミュレーターの活用はスタンダードになりつつあります。ECサイトもその例に漏れず、シミュレーターはユーザーがより良いショッピング体験を得るための欠かせない要素と言えます。
ただし、シミュレーターは簡単に制作・実装できるものではなく、扱う製品やユーザー導線を考慮した適切な設計が必要となります。
そこでおすすめなのが、シネマレイが提供するフルオーダー型WEBシミュレーター「Corcas」です。商品の特性や企業ごとの課題をベースに情報設計と機能選定を行うことで、その企業に最適なシミュレーターを制作します。
顧客体験の向上に貢献する、自社に最適化されたシミュレーターにご興味をお持ちの方は、ぜひ「Corcas」をご検討ください。
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